故郷をつくる

  ふらふら、ふわふわ.
  これまで、そんな生き方.
  「遊牧民族だから、仕方がない」と、自分に言い聞かせ、他者には笑ってごまかして.
  幼少期から転勤族もあって、引っ越しはお手のモノ.
  その代償として、自分の中に故郷と呼べる場所も、幼馴染と呼べる人も、ない.
  それらは、絶対に手に入らないもの、と分かっているから憧れる.

  転職文化が定着した日本で、こんな考え方はステレオタイプだけれど、
  自分にとって、社員になることは、会社の為に生きる路を進むという意思の表れ.
   - 会社にとって、人材は資産
   - 育つのに10年
   - 会社としてお金になるのが次の20年
  そんな企業観のある私には、人にとっての当たり前は、覚悟をもって臨むもの.
  雇い主の覚悟に応えるために.

  だからこそ、有難いお誘いがあっても、どんなに好条件でもお断りをしてきた.
  恩を仇で返すのを悔やむことが分かっているから.
  何よりも、自分の夢の実現に近づくために.


  きっかけは、いつも偶然. そして、突然訪れる.
  これまでの生き方を少しだけ軌道修正し、生まれて初めて正社員となる路を選択.
  腹を括り、次のステージまではここに定住すると決めたら、
  「遅いけれど、これで私にも故郷と呼べる場所ができるのかもしれない」という、
  自分でも予想をしなかった想いが自然と湧き上がってきた.
  不思議な程の気持ちの落ち着きと、宝物がまた一つ増える予感がすることに、嬉しくなる.

  絶対に手に入らないと思っていたものが手の届くところにある.
  これからは、自分の為だけではなく、自分に関わる全てを巻き込んで、
  最高の故郷を作りたいな、と、偶然の産物に運命を感じ、誓う.

  ここがあなたの故郷だよ、って、胸を張って言える未来を作ることが、もう一つの夢.
  それをここ、名古屋、愛知、日本、アジア、地球、でやり遂げたい.