最後まで届かなかった憧れの人

  こちらにきて、不運続き.
  そして、遂に、決定的な一撃が2011年の年も押し迫ったところに.

  人に憧れたり、人を尊敬したりすることをせず、唯一無二が自分、を貫く私.
  そんな私が、よくある質問を投げかけられた時に出すのが祖父.
  渡航前に挨拶をしに行ったときに、「これが最後だろうな」と覚悟はしてきた.
  けれど、いざ、その知らせを目にした瞬間、今まで感じたことがない情が自分の中に.
  棺桶に入れて貰う手紙を書きながら、セントレア以来の涙が止まらない一晩.
  憧れのあの人は、もう、この世には、いない.

   自分に正直で、真っ直ぐで、嘘のない人.
   自分にも他人にも厳しい、頑固一徹な軍人そのもの.
   全く欲がなく、贅沢は敵、を貫き通した人生.
   不器用だけれど、凛としていて、かっこよくて.

  人は、生まれる所を選べない中、祖父の孫として生を受けた私は幸運.
  祖父の血が自分に流れていることを誇りに思う.
  そして、その血を絶やしてはいけないのかな、なんて、産まれて初めて思った.

  98歳.
  大往生.
  安らかにお眠りください.
  大切な想いが私の中で湧き上がりました.
  こんな私だけれども、いつまでもそこから見守っていてね、
  おじいちゃん.