不定期報-Zambia- #5

  日本ではまだ馴染みのないHIV/AIDS.
  かじった程度の知識なので中途半端ですが、
  今回は少し、アフリカのHIV/AIDSの現状をお伝えします.

   HIV/AIDSに関して日本は後進国です.

  HIVとAIDSの違いって何ですか?
  どうしてHIV/AIDSは特別扱いされるんですか?
  家族や大切な人からHIVに感染した、と打ち明けられた時の自分を想像できますか?

  正直、日本に居た時には考える機会もなく、遠い国の話でしかありませんでした.
  こちらにきて目の当たりにする現実.
  HIV/AIDSは特別な病気ではありません.
  他の疾病同様、ある数値に異常をきたすだけ.
  それ故に、見た目で判断は出来ません.
  HIV感染後も免疫力の強い人は日常生活を送ることができます.
  日本だと、その潜伏期間は10年にもなると言われています.

  では他の疾病と大きな違いは何なのか.
  私は「周囲の偏見」だと現実を目の当たりにして感じています.
  感染者はこの偏見に苦しまなければなりません.

  HIV/AIDS感染と聞いたとき、多くの人は口に出さずとも、
  他の疾病とは違う思いが駆け巡るのではないでしょうか.
  他の疾病との違いは一体、何なんでしょう.
   性交渉感染というのが一つの理由だから?
   死に直結するイメージがあるから?
   近づくだけで自分に感染する気がするから?

  身近に関係者が居なければ全く気にもならないことです.
  今回、私はザンビアにこのHIV/AIDSに関わる為に来ました.
  実際この世界に立って感じたのは、
  同じ、生きている、懸命に生きようとしている普通の人々がいる.
  ただ、それだけです.

  HIVとはウイルスの事で、このウイルスが人間の免疫力を低下させます.
  免疫力が低下し、外敵と闘う力の無くなった身体は、
  様々な病気(こちらだとマラリア、結核など)に罹患します.
  この複数の疾病に罹患した状態がAIDSと呼ばれます.
  医学の進歩によりHIV感染の段階で薬を適切に服用すれば、
  その人の寿命をまっとうできるくらいにもなっています.
  アフリカ諸国では国際機関の援助もありこの薬を無料で貰えるようにもなりました.
  それでも偏見という壁が立ちふさがる為、検査に行く決心がつかず、
  感染を放置している人が沢山います.

  HIV/AIDSという分野ではたくさんの切り口があります.
  予防では、感染が広がらない為に正しい知識の共有と、
  自分の状態を知るために医療機関に検査に行くよう促すための啓発活動.
  感染者に対しては定期的な投薬継続と偏見社会で生きていく勇気、希望、の共有.
  そして大きな社会問題になっているのが、二次的な被害.
  感染によって親族をなくしてしまった子供、お年寄りへのサポートです.
  現在、感染者の大多数が社会的生産能力の高い10代-30代の若者です.
  これらの年代の高い感染率、発病率はその国の未来を脅かします.

  どれも時間、お金、人手が必要です.
  そのために多くの援助機関、国が膨大な資金、人材をこの分野に投入しています.
  それでも感染率は下がらず、今も尚、毎日の様に新しい感染者が報告されます.
  人々の行動変容を促す、という作業は余所者が叫んでいるだけでは為し得ません.
  一人でも多くの人にこの現実を理解し、正しい行動に結び付ける為の機会の提供を、
  諦めずにやっていくことも一つの方法だと信じ、今日も学校で子供たちに教えています.