死闘 - 2014

  帰国後初の公式戦.
  名古屋のメンバーは4人しかいないから、常に助っ人ありき.
  流石にまだまだ身体ができていないので、今回だけは助っ人に頼って、
  ずうずうしくも、ベンチウォーマー、という心積もりだった.
  ところが、土壇場で蓋を開けてみると、参加人数がギリギリという事態.
  フル出場を余儀なくされ、悠長なことは言っていられなくなった.

  怪我だけはしないようにしよう、と、憂鬱なまま向かう駅までの道.
  ふと見上げると目が合った、満開直後に雨に降られた桜の花に自分が重なる.
  ボテッとした花びらみたいな身体とこころ.

  そんな重い気持ちは、コートに上がる前に、封印.
  大望のゲームに出場できることに感謝、と、気持ちを切り替える.
  たよりない私の状態を知ってか、見えない力が粋な出逢いをもたらしてくれる.
  助っ人の中にかつてのライバルチームのメンバーが.
  センターコートに一度も立ったことのない私のことを、
  「小さいから親近感があって」と、覚えていてくださった.
  15年という時間が、ライバルを仲間へと変化させる、この妙.
  昔話に花を咲かせ、コートに立つ前から一気に距離が縮まる一方、
  不甲斐ないプレーはできない、と身が引き締まり、テンションが上がる.
  リザーブとしてユニフォームに袖を通すだけでドキドキしたあの頃が蘇りつつ、
  同じコートに立てることに不思議な縁を感じながら試合に臨む.

  久々のゲームでは、"やっぱり、楽しい~!"、と、ゲーム中に叫んでしまうほど、
  気持ちよくボール回しをできた場面もあった.
  けれど、練習は嘘を付かない.
  なんとか勝利を収めた初戦後は、情けないくらいに自分との闘いの場と化した.


  本日、身に沁みたのは一球がどうとかではなく、継続することの素晴らしさ.
  これまでBabieが細々と存続するために試合に出場してくれていた全ての人に "ありがとう".
  この一言が何度もなんども湧き出てくる.
  コートに立ち続けることがこんなにも大変なことだったとは.
  "解散のハズが何で続けているんだよ~" なんて、照れ隠しに発してしまったけれど、
  継続することの苦労を身をもって体感.
  コートがあんなにも広く、6人がこんなにも遠いと感じたことはこれまでなかった.
  試合の途中で筋肉が悲鳴を上げ、最後まできっちりと役割を果たせなかった.
  それでも、気力がボールを繋ぎ、何とか準優勝という結果.
  一人で闘っているようで、皆に支えられている、ということを実感した大切な日.

  これだからやめられない.
  何でやっているか分からない、ってくらいにボロボロだけれど、止められない.


  ほろ酔いの帰途には、力強く軽やかに咲いている満開の桜.
  凛々しく、堂々と、一本でも、仲間と一緒でも、自分を律しながら、
  この桜のようにしなやかで、たわわな枝のように生きていきたい、と、そっと想いを込める.