一歩、いっぽ

  ありがたい.
  バレーをするのに足りていない人数の我がチーム.
  それなのに、毎週のように色々な人が体育館に足を運んでくれるから、
  ゲーム形式に近い練習ができる.
  大汗をかきかき必死でボールを追っている親の気持ちを知ってか、知らずか、
  コートの横では父・母にくっついてきたJr.たちが大人しくボールと戯れる.
  本調子でない私は、今日だけ特別に、リハビリがてら子供バレー教室を開校.

  大人に教えるときもそうだけれど、子供に教えるときに特に気を付けること.
  言いたいことが山のようにあるのをぐっとこらえて、
  伝えたい一つのことを、言葉を変え、練習メニューを変え、
  飽きさせないように、でも、くどいと思うくらい伝え続ける.
  決して、諦めない. これに尽きる.
  忍耐が必要で、妥協が許されない作業.
  手と心を抜くとすぐに見抜き、楽な道を覚えるのが子供.
  だからこそ、伝えることがある限り、必然的に真剣勝負となる.

  挨拶の仕方、声の出し方、走り方、ボールの見方、投げ方、打ち方.
  バレーに限らず、何でもそうだけれど、幼少期に基礎がしっかりと身につけば、
  息をするのと同じような感覚を手に入れられる.
  だから、英才教育をすることは、プロを目指すのであれば一利ある.
  反面、その子の特性や内面性がそぐわないと、先にある人生を台無しにしかねないので、
  個人的には英才教育は親の独りよがり、だとも感じる.

  と、偉そうに認めたものの、実は、子供が苦手.
  それでも、大切な仲間の二世だと思うと、掛ける力も想いもまた違うものとなる.
  忍耐力なんて、人の半分も持ち合わせていない人間が、人の子供にバレーを伝える.
  ちょっと横道に逸れることで、気付きがあって、また一つ、思い出すものがあった本日.
  いつかまた、学校での部活動の指導も再開していけたらな、と、夢は欲張りに広がる.