ランニング貯金


  目標が定まらず、なんとなく生きているここ数年.
  夢があれば、猪突猛進、一心不乱.
  そこにかける時間も手間も惜しまずに突き進めるのに、
  自分の得意分野でもなんでもない会社員の日々は、なんとも悶々とする.

  そんなネガティブな状態からは脱出、と、
  随分と前から打ち込めることを密かに探していた.
  いくつか候補があったのだけれど、決め手は何気なく声を掛けてきた、
  飲み仲間?仕事仲間?に押されて始めた...
  ランニング.
  目標は、10か月後のフルマラソン出場!

  走るのは昔から苦手だったけれど、最終の決断は、バレー後の飲み会で.
  酔っぱらった勢いで一緒に走ると宣言した犠牲者約一名.
  その一言を受け止め、自分も決意.
  これまた不思議で、スポーツのこととなると、いつもと違うスイッチが入ってしまい、
  どうもぞんざいに扱うわけにはいかなくなる.

  何とか継続できているものの、
  改めて、意思が曖昧なところでは弱いな、と、つくづく思う.
  どうしてこんなにも高いハードルを掲げてしまったのだろう...
  走る度にそんなことが頭をよぎる.

  で、走る理由を走りながら決めて始めたのがランニング貯金.
  100km走破で¥10,000貯金.
  暫くは借金生活が続くけれど、フルマラソンのその日までに
  必要最小限の用具と、旅費を捻出しなければならない.
  稼ぐことがこんなに大変な事とは...と、身に染みる.


  もう一つ、走ることをやめられない理由.
  走ると決めた時を同じくして入っていた、あいつからのLINEでの喜びの雄叫び.
  ずっと、ずーっと待ち焦がれていた一報.
  そこにも運命を感じ、まだ見ぬその子のために、走ります.
  身体をはった、願掛け.
  私がこんな辛い思いしてるんだから、そっちも頑張れよ、と勝手に.