君に捧げるこのラン

  フルマラソンを走ると決意したその瞬間に舞い込んだ、
  ライバルであり、家族みたいな心友の妊娠の知らせ.
  迷いなく、願掛けマラソンを宣言.
  決戦の場は、2017年10月29日、台風接近にヤキモキする中での石川は金沢.

  高齢出産となる彼女の無事と、チビの健康な成長を祈願して.
  十月十日同じく、コツコツと走り紡いだ、1,500km.
  「ぶんちゃん本当にきちんと走ってる? 願掛け効いてないみたいなんだけど.」
  なんて、半分冗談、半分本気で言われたら、夏の暑さにひるんでなんていられない.

  マラソン経験者から情報収集する度に脅かされ、
  今の自分の限界って、どんなになるんだろう、と、ちょっとワクワクして臨む.
  日々が挑戦だった大学時代、協力隊以来だなぁこんな気持ち、と思いつつ.

  4時間以上も何を考えて走り続けるのだろう、と思っていたけれど、
  いざ、スタートを切ると、思い浮かぶのは、
  走る前に初対面したチビの元気な泣き顔だけだった.
  3か月の小さな命を腕に抱え、元気に大泣きしている顔を見て、
  「這ってでも完走するよ」、と心の中で誓って金沢に向かった.

  人生、いつも晴れじゃない.今日みたいに、7割雨みたいな人生もある.
  でも、コツコツと礎を築いておけば、それを受け止め、進めるはず.
  あいつの元に生まれ落ちたのが運命.
  そこらの人とは違った世界があるのは必須.
  元気に、逞しく.
  そして、生まれて良かった、って思える人生にしてもらいたい.


  最初で最後のフルマラソンを君に.


  …と、格好よく言ってみるものの、
  フルマラソンを完走して感じたのは、個人競技の孤独さ.
  そして、それを楽しむために必要な、真の我慢強さと己と向き合う勇気.
  一方で、自分がどうしてバレーに魅力されるかが鮮明となった.
  仲間を想い、ボールと一緒に繋げる心.
  自分が頑張るだけでは報われない理不尽さと、
  自分が辛い時には助けてくれる仲間がいるという安心感.
  滅多にないけれど、全員のベクトルが同じ方向に向き、動いた時の力は、
  自分一人で成し遂げたそれとは全く違う達成感がある.


  次の目標は、やっと、やっと、メンバーが揃いそうな3月の試合.
  気合入れてくよ! Babieさんたち!