Happiness

  何気ないチャットから深い話になった.
  お相手は、親友の親友で、一回だけ会ったことがある知人.
  第一印象は、凛として、美しく、賢い.
  そんな彼女は、母であり、妻であり、大学教員.

  話の流れで、何気なく投げかけた、
  "Hapiness is up to each person."
  呼応するように、怒涛のやり取りの応酬.

  「子供の幸せが母としての幸せであるべき」という世間の勝手なジャッジが、
  自分個人としての幸せを考えない状態に陥っていた.
  子供や旦那の幸せのカップを満たすだけでなく、
  私自身の幸せのカップを満たすことを始めようと思う.


  「日本人って本当に幸せ?」と感じたのは、ガーナで奮闘した2年間で.
  ガーナ人の笑顔に癒され、生徒に助けてもらって成り立っていた時間.
  「幸せってなんだろう」と、自ずと心に浮かびそれから考えるようになった.
 
 
  営業職をきっかけに、人と接する仕事に魅了され、自分に合っていると感じたので、
  ここ10年は、「教育」と、「コーディネーター」にこだわって職に就いている.
  そこでふと出る本音トークは、時に自分を刺激し、眠っていたものを呼び起こしてくれる.
  その時間が私のHAPPINESS TIME.
  素敵な時間を、考える時間をありがとう、と共に.
  行く先々で、より深く、その国を知り、自分のHappinessに耳を傾けたい.

  感謝いっぱいの6年間

  営業、企画、総務、経理、人事職.
  言い換えれば、兼務万歳の小規模企業の何でも屋.
  ミスがあれば全て自分の責任.
  会社が良く思われるも、悪く思われるも、私のフォロー次第.
  常に緊張しながら、慎重に、一つ一つの作業に臨んでいたこの6年間.

  語学面から人を育成するという特殊な業界で、
  幼児からシニア、一般の人から行政・企業・学校と幅広い取引先と関わってきた.
  色々な人から知恵を頂き、助言を受け、フォローをしてもらいつつ、
  紹介でつないできた営業職.
  私がお返しできるのは、誠心誠意、真剣に丁寧に仕事をするという姿勢だけ.
  それだけを自分のウリとしてやってきた.

  この6年間を振り返り、人との出逢いに感謝が絶えない.
  心から尊敬できる、自分と同じ名前の教務の存在.
  生徒から同僚というポジションへの変化へ、最初は戸惑いもあったけれど、
  彼女の熱意に負けまい、という想いだけでやってきた.
  不器用なほどに手を抜かず、常に真剣に授業や研修に挑む姿は時に痛々しい.
  「緊張しすぎて昨日も眠れなかった」と言いながら、
  100人を目の前に、「絶対に一人も眠らせない、そして一人一回は発言してもらう!」
  と臨む、その人に関われる自分が誇りだった.

  そんな彼女の存在がいつしか講師の基準となってしまい、要求も自ずと高くなった.
  時に厳しいコメントをしたり、ついつい感情的になってしまう事も多かったけれど、
  暖かく受け入れてもらいながら、最高の講師にたくさん出逢うことができた.

  ここでの出逢いから、最高の友ができた.
  ここでの出逢いが、趣味を増やしてくれ、そこから仲間ができた.
  ここでの出逢いがあって、コーディネーターが、自分の天職だと感じることができた.


  入ってから1年目に宣言した約束.
  教務か社長が辞すれば、私もここを去る.
  そこには色々な想いもあるし、他者からは想いがない、と言われかねない.
  けれど、自分に嘘はつけないので、その転機で心を決めた.
  胸を張って、次の路へと進む決意ができた.

  オリンピックにかかわる路は、パンデミックで潰えてしまったけれど、
  ありがたいことに、次への仕事までの絶妙な期間に、
  ここでの出会いが大手人材会社でのコーディネーター職の経験にも繋がった.
  与えられた場で、次への未来も拓けたのかもしれないけれど、
  相も変わらず、無謀なチャレンジに手を出す44歳.

  次なるステップは未知の業界.
  教育・人を扱う、ということは同じだけれど、国も、対象もこれまでとは全く違う.
  このタイミングで突っ込んでいく自分に、我ながら感心しつつも、
  常に信条だけは変えずに、やっていきたい.
  これまでの出逢いへの感謝と、これからの出逢いを楽しみに.

  リベンジ

  有難いことに、講演の依頼をお声がけいただく機会がある.
  ただただ、好きな事をしてきた路が、人には珍しく映るからだと思う.
  国が違うだけでやることは変わらない、というスタンスだから、
  正直なところ、あまり人に伝えられることはない.
  その上、情けないほどに緊張しぃな私.
  「菅原さんの話、聞いているこっちが緊張するわ」と言われた、
  2005年のエチオピアJICA総会で隊員代表として話すのを最後に全て断ってきた.

  「上手に、いろんな話できそうだもんね~」とか、
  「不器用だから、話して伝わる人間じゃないよな、お前」とか、言われるけれど、
  人とずれてる自覚も、テンパってとんでもないこと言ってしまいそうな予感もある.
  けれど、ずっとお世話になっている取引先からのお誘いだったので、
  未来を背負う若者に社会還元するつもりで、今回は思い切って受けた.
  
  改めて.
  新しいことへの挑戦が好き.
  刺激がないなぁ、最近、って思っていたところだったので、集中して準備もできた.
  結果、やり切った.
  講演がうまくいったかどうかは置いておいて、そこに至るまでの過程に自己満足.
  これまで目を向けてこなかったことを色々調べ、
  講演目的が、「次世代リーダー育成」だったので、リーダー論の座談会を何回も視聴.
  スピーチで緊張しない方法なんかもチェック.
  色んな種類の講演やパネルディスカッションも参考にした.

  何度も何度も自分の声を録音して、聞いて、原稿を推敲して.
  普段から早口だから、ゆっくり話せるよう繰り返し練習.
  当日には、原稿は、初稿の半分になっていた.
  変わっていく自分の原稿を通じて、あ、良くなった、成長してんじゃん、って一人、喜んで.
  久々に、一つの目標に向かって自分で動いたこの感覚.
  やっぱり、やっぱり.
  本気で何かに打ち込んでいられる時間が好き.
  今回は短期スパンの目標だったけれど、貴重な瞬間に巡り合えた自分は幸せ.

  今、ちょっとした転機の自分.
  かつてのあの頃を思い出し、今回の一期一会に感謝して、
  勇気とともに、新しい一歩を踏み出そうと思う.

  Babie復活 #1 - 2018

  約2年振りのBabieでの試合.
  全ては、守護神Sの出場表明から始まった.
  子育てに奮闘しながら、仕事にも復帰.
  忙しい時間の合間にやりくりをしての練習参加.
  その行動からひしひしと伝わるやる気に、俄然、張り切る私.

  復活戦は、純正メンバー4名・名球の現役2名・久々にゲームに参加の3名、
  加えて、私の心のオアシスでもある新人1名の計10名.
  地道に声を掛けて人数を集めてくれたムードメーカAに感謝.

  久々の試合は、どんな気持ちになるんだろう、と不思議な気分.
  ホイッスルが鳴ったその時の気分は母親.
  プレーがどうのこうのではなく、皆が真剣に試合に臨む姿を見て、
  ただただ、嬉しさを噛み締めるだけ.

  ブランクがあってからの復帰の恐怖は何度も経験している.
  だからこそ、コートに立つ決断をしてくれたママさん2人には、
  日常にはない、ここでしか味わえない時間を思い出してもらいたかった.
  出逢ってから15年になるこのチーム.
  継続する事がこんなにも大変だなんて、あの頃には想像できなかっただけに.

  もう一つの私の今日の大きな目標.
  大型?新人くんに試合デビューと、バレーを楽しんでもらうこと.
  スポーツなんて凡そしたことがない人なのに、
  会う度に声を掛け続け、練習に顔を出してくれたのが、約半年前.
  今日は、女子の大会だったけれど、相手チームにお願いして、
  出場許可をもらって、いざ、参戦!
 
  これまで勝負の世界に身を置き、いろんなチームをみて選手を育ててきたけれど、
  ゲームは死合い. 楽しさは二の次だった.
  でも、彼に対しては、とにかくゲームの楽しさを知ってもらいたい!という想いだけ.
  バレーの楽しさなんて、味わう余裕はないド緊張のデビュー.
  それでも、勝手に感無量なデビュー戦.

  肝心なBabieさんは、まぁ、予想通りというか何というか.
  黄金期のパフォーマンスの半分にも達していないけれど、
  皆が真剣に臨めるものがあるって、改めて素晴らしいな、と心から.

  反省点は、自分自身が動けないのを言い訳に、勝ちに執着しなくなってしまったこと.
  まずは、復帰戦の第一戦.
  ここから積み上げ、勝ちにこだわれるチームになっていければ、と思う.


  最後に、心の中のつぶやきひとつ.
  「2年間、守っといたから!」と出迎えられた5年前.
  今回、生まれて初めてと言っても過言ではない、待つ立場.
  しかも、期限はなく、もう戻ってこないかもしれない、という、目途が立たない時間.
  待った甲斐があった、と同時に、そのコトバの重みを改めて.
  守ってもらってきたこの大切で貴重な場所を、
  これからはもう少し心を込めて守り続けないとな、と今更ながら.

  とにかく、とにかく、ウェルカムバック!な本日の復活戦.
  次は勝ちに行こうね.
  「どーしても負けることが嫌い」な彼女がコートに立ち続ける限り.

  君に捧げるこのラン

  フルマラソンを走ると決意したその瞬間に舞い込んだ、
  ライバルであり、家族みたいな心友の妊娠の知らせ.
  迷いなく、願掛けマラソンを宣言.
  決戦の場は、2017年10月29日、台風接近にヤキモキする中での石川は金沢.

  高齢出産となる彼女の無事と、チビの健康な成長を祈願して.
  十月十日同じく、コツコツと走り紡いだ、1,500km.
  「ぶんちゃん本当にきちんと走ってる? 願掛け効いてないみたいなんだけど.」
  なんて、半分冗談、半分本気で言われたら、夏の暑さにひるんでなんていられない.

  マラソン経験者から情報収集する度に脅かされ、
  今の自分の限界って、どんなになるんだろう、と、ちょっとワクワクして臨む.
  日々が挑戦だった大学時代、協力隊以来だなぁこんな気持ち、と思いつつ.

  4時間以上も何を考えて走り続けるのだろう、と思っていたけれど、
  いざ、スタートを切ると、思い浮かぶのは、
  走る前に初対面したチビの元気な泣き顔だけだった.
  3か月の小さな命を腕に抱え、元気に大泣きしている顔を見て、
  「這ってでも完走するよ」、と心の中で誓って金沢に向かった.

  人生、いつも晴れじゃない.今日みたいに、7割雨みたいな人生もある.
  でも、コツコツと礎を築いておけば、それを受け止め、進めるはず.
  あいつの元に生まれ落ちたのが運命.
  そこらの人とは違った世界があるのは必須.
  元気に、逞しく.
  そして、生まれて良かった、って思える人生にしてもらいたい.


  最初で最後のフルマラソンを君に.


  …と、格好よく言ってみるものの、
  フルマラソンを完走して感じたのは、個人競技の孤独さ.
  そして、それを楽しむために必要な、真の我慢強さと己と向き合う勇気.
  一方で、自分がどうしてバレーに魅力されるかが鮮明となった.
  仲間を想い、ボールと一緒に繋げる心.
  自分が頑張るだけでは報われない理不尽さと、
  自分が辛い時には助けてくれる仲間がいるという安心感.
  滅多にないけれど、全員のベクトルが同じ方向に向き、動いた時の力は、
  自分一人で成し遂げたそれとは全く違う達成感がある.


  次の目標は、やっと、やっと、メンバーが揃いそうな3月の試合.
  気合入れてくよ! Babieさんたち!

  It's not fun, but interesting


  4年に一度開催のグラチャンまっただ中.
  バレー=私、のイメージがまだまだあるようで、
  「グラチャン、観てますか~」と、懐かしい人からの連絡.

  慌ててTVをつけると、フルセットにもつれ込んだところ.
  連続のサービスエースであっという間に勝利したので、
  ゲームの中身やチームへの感想はそんなになかったけれど、
  アナウンサーが言っていた、今の監督のセリフに心が留まった.

  「全日本の監督は楽しくない.でも、面白い.」
  何故か瞬時に脳内変換されたのがタイトルの一文.
  言いえて妙.

  そうだった.
  自分って、人生に楽しさとか刺激を求めていない.
  他者と楽しさを共感できないひねくれ者みたいなところもある.
  その代わりに、面白さ・興味深さ -interesting- に魅かれる.
  一途に何かに打ち込む人をサポートすることが好き.

  ここ数年、Coordinatorという肩書を掲げているものの、
  腰掛みたいな中途半端な気持ちが続いている.
  尊敬できる人と働ける贅沢な環境なのに、
  心のどこかに何かが引っ掛かっているようで、
  自分にも他者にも素直になれず、突っ走ることができない.

  そんなときにふと耳にした久美さんのチームへの気持ちと、
  一緒に働きたいな、と、ずっと思っていた人が、
  会社に戻ってきてくれたことが重なった.

  この気持ちを大切に、
  "Working is not fun, but it's interesting!"
  そんな風に胸を張れる仕事をしていきたい.
  じっわっと、そんな気分に浸った.

  今ある感謝の気持ちを忘れずに.

  3にまつわる...エトセトラ


  最近の日課となりつつある、朝ジョグをしながらの頭と心の整理.
  新年度に向けて色々なことが走り出す上に、
  プライベートでもアレンジしないといけないことが重なってしまい、
  わくわくと、焦りが混在.
  あーでもない、こーでもない、と2時間近く走った本日.

  蓋を開ければ、本来のお題の解決には至らず、
  行きついた先は3にまつわる...エトセトラ.

  3月の今月はやたらと3にご縁がある.
  朝ジョグを始めて3か月.
  今の会社で勤続3年.
  バレーと出会ってから丁度、30年.

  「三」と聞くと色々と湧き出すのは日本人の性だろうか.
  協力隊でも、任地で最初の3か月を乗り切れば大丈夫、と言われた.
  新社会人も3か月の壁を乗り越えるのが肝となる.
  恋愛にも倦怠期という魔の3か月目・3年目がある.
  石の上にも三年・三十にして立つ・三人寄れば文殊の知恵・駆けつけ三杯...

  私自身は3が大きな壁で、これを乗り越えられなかったものが数々...
   母に誘われたゴルフの練習は3回行って途絶えた.
   英語の勉強なんて毎回気合を入れて臨むのに3頁以上進まない.
   仕事でも同じ間違いを3回やられると、言っても無駄、と諦める.
   ジム通いも回数券を3回使い切る頃に何かに邪魔をされ継続できない.
  三日坊主とはよく言ったものだ、と、古の人に感心する.
  いや、三つ子の魂百まで、本質は変わらない、変われないのか...

  そんな中、数々の3を克服してきたのが、朝ジョグ.
  早起きは三文の徳の如く、ピリッとした空気で始まる一日は清々しい.
  いつもは喧騒な街も日の出前の時間帯は静まり返り、その中を黙々と走るのは爽快.
  小一時間走ってシャワーを浴び、淹れたてのコーヒー片手に新聞を読む.
  ちょっとした贅沢な朝時間を手に入れた.
  夜も自然と瞼が降りてきて、時間つぶしみたいにPCに向かい合う無駄な時間が激減.

  「走ることは苦痛でしかない」と、3か月前の自分は答えていた.
  それが、今では日々のリズムを刻む大切なファーストステップとなっている.
  食わず嫌いって、本当に損をする、と、朝ジョグを始めることで体感できた.
  拒む前に、否定する前に、一度やってから決めよう、と、心を改めた2017年.
  まだまだ、迷子中のわが人生ではあるけれど、まずは近い未来の目標に向け、
  小さいけれど確実なステップを踏んでいきたい.

  それが次の3に続くと信じて.

  ランニング貯金


  目標が定まらず、なんとなく生きているここ数年.
  夢があれば、猪突猛進、一心不乱.
  そこにかける時間も手間も惜しまずに突き進めるのに、
  自分の得意分野でもなんでもない会社員の日々は、なんとも悶々とする.

  そんなネガティブな状態からは脱出、と、
  随分と前から打ち込めることを密かに探していた.
  いくつか候補があったのだけれど、決め手は何気なく声を掛けてきた、
  飲み仲間?仕事仲間?に押されて始めた...
  ランニング.
  目標は、10か月後のフルマラソン出場!

  走るのは昔から苦手だったけれど、最終の決断は、バレー後の飲み会で.
  酔っぱらった勢いで一緒に走ると宣言した犠牲者約一名.
  その一言を受け止め、自分も決意.
  これまた不思議で、スポーツのこととなると、いつもと違うスイッチが入ってしまい、
  どうもぞんざいに扱うわけにはいかなくなる.

  何とか継続できているものの、
  改めて、意思が曖昧なところでは弱いな、と、つくづく思う.
  どうしてこんなにも高いハードルを掲げてしまったのだろう...
  走る度にそんなことが頭をよぎる.

  で、走る理由を走りながら決めて始めたのがランニング貯金.
  100km走破で¥10,000貯金.
  暫くは借金生活が続くけれど、フルマラソンのその日までに
  必要最小限の用具と、旅費を捻出しなければならない.
  稼ぐことがこんなに大変な事とは...と、身に染みる.


  もう一つ、走ることをやめられない理由.
  走ると決めた時を同じくして入っていた、あいつからのLINEでの喜びの雄叫び.
  ずっと、ずーっと待ち焦がれていた一報.
  そこにも運命を感じ、まだ見ぬその子のために、走ります.
  身体をはった、願掛け.
  私がこんな辛い思いしてるんだから、そっちも頑張れよ、と勝手に.

  満身創痍 - 2016


  いつもなら、当たり前のように主導できているはずの試合.
  練習でイマイチでも、ゲームでは何とかなる、と思っていたのに...

  事実、パフォーマンスは良かった.
  それなのに、何の兆候もなく初戦の一セット目で敢え無く脱落.
  限界を感じるほど動いていた気はしないのに悲鳴をあげたこの身体.
  理由が分からないだけに悔しさは半端ない.

  確かにここ最近はストレス満タン.
  食欲がなくなる夏.
  前日の練習中にも足がつって、軽い熱中症.
  でも、空調設備の完備された体育館なら大丈夫、と、全く心配せずに臨んだ試合.
  これが老い、負い、おい、なのか...

  見ることしかできないチームは久々の入賞.
  目の前で繰り広げられたのは、バレーの不思議.
  予選では、大エースとセンターの要をもってしても勝てなかった.
  三位決定戦では、同じチームと戦って、二つの要が不在なのに余裕で勝利.
  技術が劣っていても、心があれば、一球入魂ができれば、拾えれば、勝てる.

  「初老だから動けない」って口癖のように言うAも、
  最近、殆どボールに触ってない、前日の最終新幹線で東京から駆け付けたAも、
  本当に良い働きをしていた.
  「えっ、私が振り回されていたあのキャッチは何なの」っていうくらいに、
  丁寧で、正確で、何よりも次の人を思う心が通うボールが繋がった.
  こんな試合ができたら楽しいだろうな.
  「私もそこに入りたいよ」と、心の中で叫びながらも、
  そうできないのは自分の心掛けが足りないから、と、反省もする.

  ただ、一生懸命やるだけでは、疲労困憊になるだけだけれど、
  心と頭を使った後は、心地よい疲れと、やり切ったスッキリ感と充実感が残る.

  最近、時間を見つけては来てくれる新メンバー二人も、
  きっとバレーの真の楽しさを感じられたのではないかな.
  上手い、とか、下手、とか、どうでもいい.
  One for all, all for one.
  そんな、団体競技の世界では言い尽くされたフレーズが蘇った時間だった.

  次こそは、その輪の中に入っていたい.
  やっぱり、まだまだ生涯現役、は諦めたくないから.

  省エネの極意


  ボールはちらっと、しっかり、見る.
  特にレセプション・ディグのインパクトの瞬間は必ず.
  その瞬間を意識し続けると、二本目への軌道が浮かびあがる.
  浮かび上がる軌道を意識出来たら、次は何が想定されるのか、
  選択肢を最低2つは用意する.
  判断材料は、コートに立つ人間のポジショニング.

  自分がボールに触っていない時こそ、頭の中は忙しい.
  ズレが生じた時のフォローはどうすれば良いか.
  ボールに触っている人へ伝えることはないか.
  相手の今、一番弱いところはどこか.

  自分勝手に妄想するのではなく、
  周囲を見渡し、散らばり落ちている判断材料を可能な限りかき集める.
  見る余裕があると、不思議と自分のすべきことがはっきりとする.
  結果、余計な動きをする必要がなくなり、省エネバレーに繋がる.

  上手い人が動いていないように見えて、いつもボールの正面にいるように感じるのは、
  常に最善と思われるポジショニングをしているから.
  ボールに触っていない時にも細やかに動き続け、
  常にボールに関わる動きをするから、どんなボールがきても対応できる.

  反対に、無駄な動きとは、深く考えずに動いていたり、
  ボールがきてから反応を始める人によく見られる.
  これは、本人が一番疲れるし、心のダメージも大きい.
  そして、成功率が格段に下がる.

  どんなことでも、楽な道なんてない.
  集団スポーツだと、たった独りが気を抜くとすべてが台無しになる.
  ちょこっとサボっただけで、それまでの関わりが一瞬にして途切れてしまうのだから.
  すべて自分に却ってくるなら一人で反省すれば良いけれど、そうでないのがバレー.
  この重圧も含め、人との関りを感じられるからバレーをやめられないのかもしれない.